分析の納品物です。数字と、その数字がどこまで言えるかだけを並べた文書で、解釈は含めません。
ひとつの依頼につき1本作ります。分量は〈20〜40〉ページ程度です。 社内で回覧されることを前提にしているので、集計の条件と限界が同じ文書の中に入っています。
何が入っているか
| 節 | 内容 |
|---|---|
| 0. 対象の決め方 | 使った検索式、当たった出願人名義の一覧、除外した名義とその理由 |
| 1. 出願件数の動き | 年次の実数、ピーク年、直近の水準、向き |
| 2. 主戦場の年代変化 | 5年ごとの上位分類と、順位の入れ替わり |
| 3. 分野ごとの詳細 | 依頼内容に応じた指標の結果 |
| 4. 代表公報 | 数字の裏にある個別の公報(番号・発明の名称・出願日) |
| 5. この数字の限界 | 引用する前に読む節。何が言えて何が言えないか |
| 6. 測ったが使えなかったもの | 途中で捨てた集計と、捨てた理由 |
| 7. 再実行のしかた | 同じ条件で回し直すための手順 |
5節と6節について
多くの調査報告書は、結論だけを載せて、途中で捨てた集計を書きません。 この文書では両方を残します。理由は2つあります。
ひとつは、限界を知らずに引用されると誤りになるからです。たとえば直近3年の件数は 公開の遅れで実際より少なく出ます。この一行が無いまま社内資料に転記されると、 「近年減少している」という結論が独り歩きします。
もうひとつは、同じ失敗を繰り返さないためです。ある調査では、発明者の分野移動率を 指標として計算しましたが、これは撤退の強さではなく多角化の度合いを測っているだけでした。 使わなかった理由を書いておくと、次に同じ問いが来たときに測り直さずに済みます。
実物の抜粋
公開している記事の集計過程で作成したファクトパックから、「この数字の限界」の 1節をそのまま載せます。
9-1. 同一人物の判定
- 判定は同じ出願人の中での氏名一致。会社をまたいだ追跡はしていない(未検証)
- 正規化はNFKC変換+空白除去のみ。旧字と新字(髙と高、邊と辺)は別人になる
- 同姓同名は同一人物として数える
混入の度合い(実測): 対象者の氏名が全国の発明者名簿(異なり533万名)に何件出てくるか。
| 全国での出現 | ニコン610人 | オリンパス109人 |
|---|---|---|
| 50件未満(ほぼ一意) | 53.0% | 51.4% |
| 50–200件 | 38.7% | 36.7% |
| 200–1,000件 | 7.7% | 11.0% |
| 1,000件以上 | 0.7% | 0.9% |
★全国件数だけで珍しさを判断しないこと。多作な本人を弾いてしまいます (ある名前は全国1,325件のうち1,298件が同じ会社の同一人物)。 別の代理指標として、社内での見かけのキャリアが35年を超える人が ニコン45人(7.4%)・オリンパス10人(9.2%)。 「1983–2025年」のような行は同名の別人が重なっている疑いが濃い。