この記事の要点
- 発明の名称に「ショートスリーパー」を含む特許出願は、1,708万件の中に0件でした。
- 睡眠時間そのものを短くすると課題に書いた出願は3件で、いずれも登録されていません。
- 登録された公報215件を読むと、条件が書かれていたのは寝つきと眠りの質と起き方でした。
日本で出された特許の発明の名称を、1,708万9,310件ぶんたどりました。「ショートスリーパー」を含むものは0件です。「短時間睡眠」「短眠」「時短睡眠」も0件でした。
短く眠ると書いた出願
出願の英文の要約には、その出願が何を解決しようとしているかを書く節があります。そこに睡眠時間を短くすると書いてあった出願は、3件でした。発明の名称から推定できるものを足しても4件です。
| 出願年 | 出願人 | 発明の名称 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1984年 | 記録なし | 睡眠時間制御装置 | 登録なし |
| 1999年 | ジャパンテレホン | 身体支持具 | 登録なし |
| 1999年 | ジャパンテレホン | 浮遊ベッド | 登録なし |
| 2010年 | トヨタ自動車 | 睡眠装置 | 登録なし |
4件とも登録に至っていません。いちばん新しいものでも2010年の出願です。1984年の1件は本文が残っておらず、名称からの推定にとどまります。
一方、寝付くまでの時間を短くすると書いた出願は16件ありました。「短くする」と書いてある出願の多くは、睡眠時間ではなく寝付くまでの時間の話です。
特許が集まっている型
睡眠に関係する出願を1件ずつ読み直して、4つの型に分けました。
| 型 | 件数 | 登録された割合 |
|---|---|---|
| 音や光の刺激で眠りを誘う | 333件 | 41.4% |
| 寝床や部屋の温度を制御する | 154件 | 39.6% |
| 眠りの深さを見て起こす | 65件 | 32.3% |
| 眠りの深さを見ない目覚まし | 194件 | 28.9% |
4つの型のうち、刺激の型だけが2010年代に増えました。増えた分の多くは、国際出願として出されて日本へ入ってきたものです。2015年からの5年では、69件のうち31件がこの経路でした。
眠りの深さを見て起こす型は、40年を通して少ないままです。5年あたりの件数は、最も多い区間でも16件です。増える傾向も減る傾向も見えません。
数の上で最大の塊は、この4つのどれでもありませんでした。睡眠に関係する出願6,622件のうち、いびきと無呼吸が881件、測って判定するだけのものが811件を占めます。
就寝前の照明と入浴
ここからは、登録された公報215件の本文に書かれている条件です。多くは各社が装置を設計するときに置いている値で、人で試した記載があるのは一部でした。
照明メーカーと寝具メーカーの公報は、就寝の90分から2時間前に色温度を下げる設計を書いています。色温度は数字が小さいほど赤みが強くなります。5000Kから2800Kへ落とすもの、夜は2000Kから3000Kに置くものがあります。同じあたりの目盛りを、別々の会社が書いています。
給湯器メーカー2社の公報は、入浴で体の内部の温度をどれだけ上げるかを、就寝までの残り時間で変えます。残りが1.5時間以上なら0.5〜1.0℃、0.5〜1時間なら0.1〜0.3℃です。就寝が近いほど、上げ幅を小さくする設計になっています。
寝床の中の温度
家電メーカーと大学の公報は、布団の中の温度を32℃前後に置きます。31〜33℃の範囲で動かす、32±2℃に保つ、という書き方です。湿度は40%台の値が出てきます。
空調メーカーの公報は、頭側と脚側で温度を変えます。頭側26℃、脚側30℃という値です。大学と企業の共同出願は、眠りに入る時期だけ部位を分け、下肢を33〜35℃、上肢を25〜29℃に置きます。
仮眠と起こし方
楽器メーカーと空調メーカーの公報は、仮眠の長さを15分から30分、20分から30分と書いています。眠りに入ったことを検出し、深い眠りに入る前に鳴らす、という組み立てです。
電機メーカーの公報は、設定した時刻の30分前から15分後までを窓にして、その中で鳴らします。睡眠周期を90分と置く出願も複数あります。自動車部品メーカーの公報は、起床の30分前から10分前にかけて、約100ルクスの光を当てはじめます。
人で試した記載
215件のうち、人で試した記載があるのは22件でした。人数まで書いてあるのは16件で、10人以上なのは10件です。残りは装置の作り方と制御の説明だけで、試した節を持ちません。
| 出願人 | 特許 | 公報に書かれている技術 | 試した人数 |
|---|---|---|---|
| パラマウントベッド | 5665411 | 眠りに落ちるまで背もたれを上げ、眠ったら下げるベッド | 12名 |
| イービービー セラピュティクス/ピッツバーグ大学 | 6641271 | 額に30℃前後の面を15分以上当てる器械 | 約100人のうちの一部(人数は公報で伏せ字) |
| 花王 | 7781969 | 耳に聞こえない高い音を出す装置 | 20〜30歳代の男性18名 |
出している会社
温度の型では、ダイキン工業が154件のうち33件を占めます。刺激の型でいちばん多いのはフィリップスの30件で、2番目は個人の29件でした。型によって、出願人の顔ぶれが変わります。
睡眠と結びつけにくい業種も並びます。給湯器のノーリツとリンナイ、楽器のヤマハ、自動車部品のデンソーとアイシンが、この分野の特許を持っています。
調べた結果
短く眠れるようになる技術は、特許の記録には見あたりませんでした。記録に残っているのは、眠りを深くするための条件と、起こす時期を選ぶための条件です。どちらも、眠っている時間の長さを前提にした設計です。














